コラム

2023.09.11

新卒採用の「七五三」現象、最近は少し変わってきています

新卒採用における「七五三」現象はご存じでしょうか?

こちらは就職後3年以内離職率に関する現象を言い表した言葉です。具体的には、中卒者は70%、高卒者は50%、大卒者は30%が就職後3年以内に離職していますよ、という意味です。新卒採用は未来の組織を築く上での重要なステップですが、早期離職はその取り組みの障害となることが多々あります。新卒採用市場ではもはや常識のようなデータなのですが、近年においては状況が少し変化しているようです。どのように変化していると、皆さんは思いますか?

厚生労働省の統計を見ると、新卒採用の早期離職率は実は時代とともに大きく変動しています。傾向としては、景気が落ち込むと早期離職率も下がり、景気がよいと早期離職率が上がると言えます。

出典:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況を公表します」

1990年代には、中卒者の3年以内離職率が65%、高卒者が45%、大卒者が25%程度でした。この頃は高度経済成長からバブル崩壊を経た日本経済の変動が大きかったことも影響していると考えられます。特にバブル崩壊直後の1990年代前半は早期離職率が下がっています。バブル崩壊後の社会の混乱がこちらのデータでも見て取れますね。

2000年代に入ると、一転早期離職率が上昇します。中卒70%、高卒50%、大卒35%という、まさに「七五三現象」が確立しました。こちらは、日本の労働環境の変化や経済状況、若者の価値観の多様化などが背景にあると考えられますね。私もこの年代に新卒だったのですが、ちょうど「これからの時代は転職が当たり前の時代になる」と言われ始めた時期だったように覚えています。

しかし2010年に差し掛かる時期、具体的には2008年のリーマンショックを境に、早期離職率が減少傾向に転じます。2018年の厚生労働省のデータによると、中卒55%、高卒37%、大卒31%と、特に中卒、高卒の3年以内離職率が顕著に減少しています。またこのデータには出ていませんが、2020年のコロナショック後は更に離職率が低下していることが予測されます。

人事に関わる皆さんは「最近の若者はすぐに会社を辞める」という言葉をよく聞くかと思いますが、データ上ではそれは事実ではないようです。むしろ早期離職率は下がっているんですね。そのため、最近の若手がすぐに辞めるという印象が強くあるのは、辞める理由だったり辞め方に原因があるのではないかと推測されます。「そんな理由で?」とか「その辞め方は失礼では?」という感情が強く残ってしまっている、ということです。それを、近年の若手の内面と結び付けているのではと思います。

新卒者の早期離職は会社の未来を築く上で大きな障害にもなりますし、コスト上も人材育成費用がかさみ会社の経営体質を悪化させる要因になりえます。そのため、マクロな視点では早期離職率は景気の動向と相関があり仕方がない面もありますが、ミクロな視点では会社側の早期離職率を下げる努力が重要です。

では会社側がどんな努力が必要なのかというと、近年の高度にダイバーシティが進んだ社会を踏まえて、「継続的なフォローとキャリア支援」と「多様な働き方の受容」がポイントであると考えられます。

企業側が従業員のキャリア形成や職場環境の改善に取り組み、新卒者のサポートを継続的に行うこと、そして多様化した若者の働き方やキャリアに対する価値観に合わせて、フレキシブルな働き方や多様なキャリアパスを提供することで、早期離職率の減少を図ることができるでしょう。

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