コラム

2023.09.13

「勤続給」「職務給」「職能給」とは?

定年退職後の再雇用における基本給等の引き下げについて争いになった名古屋自動車学校事件の最高裁判決が、2023年7月20日に出されました。結論としては基本給の性質や支給目的等について差戻し審理を命じました。そこで議題になった基本給の性質について、「勤続給」「職務給」「職能給」について言及されています。本コラムではこちらの給与体系について簡単に解説いたします。

1.各給与体系について

●勤続給

勤続給は、従業員の在籍年数や勤務年数に応じて給与を支給する給与体系です。組織への忠誠心や継続的な奉仕、経験やノウハウの蓄積を評価する形となります。メリットとしては、そのままにはなりますが、組織への所属意識や忠誠心を高め、長期間の定着を促進します。経営的視点では、長期間の定着が促進されると、次世代の優秀な人災を見出すうえでも時間を確保できます。一方でデメリットとしては、新規採用者や短期間の在籍者のモチベーションを下げる可能性があり、組織内での固定観念ができたり、柔軟性の欠如を招くリスクがあります。

●職務給
職務給は、その職位や役職に応じて定められた給与を支給する給与体系です。具体的な仕事の成果や能力よりも、その職位に対して一定の報酬を保証します。メリットとしては組織の階層や役職の明確化が可能で、従業員が目指すべきポジションが明確になるため、キャリアアップの動機づけとなります。一方でデメリットとしては、職位にとどまることを重視するため、能力向上やスキル獲得を促進する動機付けにはつながりにくいです。

●職能給
職能給は、従業員の持つスキルや能力に応じて給与を支給する給与体系です。具体的な成果よりも、その人が持つスキルや知識に対する評価が中心となります。メリットとしては、スキルアップや能力向上を奨励するため、従業員の自己啓発や教育研修への参加意欲が高まります。また、能力に基づく公平な評価が可能となり、新規採用者のモチベーション向上が期待できます。デメリットとしては、能力の評価が主観的になりがちで、公平性を維持するための評価システムや基準の策定が求められます。

2.日本における給与体系の移り変わりとその背景

次に日本においてはどの給与体系が選択される傾向にあるのかを見ていきます。

日本の給与体系は、経済成長や労働市場の変動、そして企業文化の変遷と共に、多様な形を見せてきました。

●経済高度成長期 - 勤続給の全盛
高度経済成長期には、終身雇用と年功序列が日本の労働文化の中心でした。この時代は「勤続給」が主体であり、長く勤めるほど、給与もそれに伴って上がっていくのが一般的でした。この体系は、従業員の組織への帰属意識を高め、企業の安定的な成長をサポートしました。長く歴史のある企業には、まだ十分に残っている制度です。

●バブル崩壊後 - 職務給の導入
1990年代、バブル崩壊後の不況の中で、企業は経営効率を追求するようになりました。この時代、成果主義や職務の明確化が求められ、「職務給」が導入される企業が増えました。役職や職位に応じた一定の報酬が支払われるこの体系は、成果や責任を明確にし、競争意識を高める効果がありました。

●2000年代以降 - 職能給の普及
情報化社会の到来やグローバル化の進行により、専門的なスキルや知識が重視されるようになりました。企業は従業員一人ひとりの能力を最大限に活用しようと、「職能給」を導入する動きが広がりました。従業員のスキルアップを促進するこの体系は、企業の競争力向上や新しいビジネスチャンスの創出に貢献しました。

●現代 - 給与体系の多様化
近年では、従業員の多様な働き方や価値観の変化に対応するため、それぞれの給与体系を柔軟に組み合わせる企業も増えています。例えば、基本給に勤続給を組み合わせ、さらに能力や成果に応じてボーナスやインセンティブを支給するなど、多様な給与体系が見られるようになりました。

3.まとめ

日本の給与体系は、社会経済の変動や企業文化の変遷と共に、進化してきました。経営者や人事担当者は、これらの背景や特性を理解し、組織の目的や従業員のニーズに合わせて最適な給与体系を選択することが求められます。各給与体系の特徴やメリット・デメリットを理解し、組織の成長と従業員の満足度向上のためのバランスをとることが大切です。

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